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2022年10月29日 (土)

話題のAI迷彩セーターは本当に物体検出をだませているのか!?

画像生成AIほどではありませんが、「AI迷彩なセーター」が少し話題になってますね。

監視カメラAIが認識できないセーターが開発され、ネット「新たな都市迷彩」 | マイナビニュース

御覧の通り、不思議な模様のセーターを着たら、物体検出に引っかからなかったというもの。

以前よりこのAI迷彩ってやつは存在するので、また新手のやつが出てきたのかなぁと思っていたんですが。

記事を読んでいて、少し違和感が。

この記事の後ろの方に「実験では、MicroSoft社が提供する画像データセット「COCO」で学習したYOLOv2という物体検出のアルゴリズムを用いた監視カメラを使用。」と書かれてまして、これを読んだ直後、

えっ、今さらYOLOv2ですか!?

となった次第です。

ガンダムで例えるなら逆襲のシャアで旧ザクが活躍してるような違和感とでも言えばわかっていただけるでしょうか?

あるいは、F-15やF-35が全盛の現代に紫電21型(紫電改)に乗った名パイロット菅野直大尉が無双する物語を読んでいる風にも感じます(いや、それは読みたいかも)。

YOLOv2なんて、いくら何でも古すぎるアルゴリズム。このブログでもその名前が出てきたのは2018年です。

TensorFlow+KerasでSSDを独自データで使えるようにしてみた: EeePCの軌跡

この業界で4年って、結構古いですよ。今どきv2なんて使ってる人を見たことがない。YOLOもv3ぐらいから実用レベルとなった感覚なので、v3以降ならばまだわかるんですけど。

で、さらにこんなツイートにも遭遇。

最近のアルゴリズム(Yolov5)でテストしたら、このAI迷彩に関わらず難なく検出したようです。

うーん、このAI迷彩、ますます怪しいぞ。。。

ということで、私もテストしてみることにしました。

ここでは、比較的新しいアルゴリズムである「YOLOX」を使います。

コードとモデルはこちらの記事を参照。

訓練済みYOLOXでサクッと推論したい場合に使える方法 | Shikoan's ML Blog

使っているのはYOLOX-sなので、比較的軽めのモデルです。めちゃくちゃ精度が高いというわけではない。

続いて、なるべく解像度のよさげな画像を入手。

着ると監視カメラでAIが認識しないセーター開発→「PSYCHO-PASSの世界にありそう」「AIと人間の戦いは始まっていた…」 - Togetter

画像はここからゲットしました。

ほんとうは枠無しのオリジナル画像でテストできれば良かったんですが。ネット上には見当たりませんでした。

で、結果です。

Aimeisai

これが

Pathtooutputimage

こうなりました。

あれ、ちゃんと検出できてるぞ。。。

解像度が低いからじゃないか、とも考えられますが、これを見る限り絶対ダメということではなさそう。

少なくともYOLOv2(≒旧ザク)に勝ったぐらいであらゆる物体検出AI(≒ガンダム)に勝てると宣言するのはちょっとやり過ぎではないかと。

そういえば、イスラエルあたりで人を捉えたら狙撃する機銃なんてのが作られたそうですが。

「AIが人間をロックし正確に狙う機関銃...」イスラエルが開発、パレスチナ難民キャンプに配備される(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース

こいつがYOLOv2よりもずっと新しいアルゴリズムを採用していた場合、このAI迷彩セーターを着て「撃てるものなら撃ってみやがれAIめ!ヒャッハー!」と言って飛び出した人が撃たれちゃったら、どうするつもりなのでしょうか?

私の知る限りではYOLOv3、v4、YOLOXあたりは実装例が多い手法ですから、せめてこの辺りでテストすべきだったのでは?と思いました。


TensorFlowはじめました3 Object Detection ─ 物体検出 (NextPublishing)

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