サーマルセンサー「AMG8833」とRaspberry Piで非接触体温計っぽいものを作ってみた
新型コロナウィルスの猛威が、収まりません。
ということで、毎日体温測定が欠かせない今日この頃ですが、やはり体温測定ってやつは、めんどくさいことこの上ない。
そこで、こんなものを買ってみました。
AMG8833というサーマルセンサー。スイッチサイエンスで購入、お値段5千円ほど。
Panasonic製のセンサーを搭載しており、解像度は8×8、0~80度まで測定可能というセンサーです。
ずっと以前から気にはなってましたが、コロナ禍のご時勢ということもあり、とうとう手を出してしまいました。
で、いきなりRaspberry Pi 3 B+に組み込んでみました。
接続ですが、それぞれRaspberry PiのGPIOの
3.3V ・・・ 1番ピン(3.3V)
GND ・・・ 6番ピン(GND)
SCL ・・・ 5番ピン(GPIO3、SCL)
SDA ・・・ 3番ピン(GPIO2、SDA)
に接続してます。カメラは、先日買った800円のRaspberry Pi Camera V1.3互換カメラ(Raspberry Pi Camera V1.3の「互換カメラ」買ってみた: EeePCの軌跡参照)を使います。
で、下準備ですが、こちらを参考に、
RaspberryPiで赤外線アレイセンサAMG8833(Grid-EYE)からデータ取得 - Qiita
ドライバーをダウンロードします。
あ、その前にあらかじめI2Cを有効にしたり(sudo raspi-configから)、IDを表示(i2cdetect -y 1)させて接続確認をしておいてください。
> sudo pip3 install adafruit-circuitpython-amg88xx
で、上のサイトを参考に、コードを作りました。
コードはこちら(amg8833_plt.py)。
import time
import busio
import board
import cv2
import adafruit_amg88xx
import picamera
import picamera.array
import matplotlib.pyplot as plt
plt.ion()
#plt.figure()
plt.subplots(figsize=(8, 4))
# I2Cバスの初期化
i2c_bus = busio.I2C(board.SCL, board.SDA)
try:
while True:
# センサーの初期化
sensor = adafruit_amg88xx.AMG88XX(i2c_bus, addr=0x68)
# センサーの初期化待ち
time.sleep(.1)
with picamera.PiCamera() as camera:
camera.resolution = (320, 240)
camera.capture('./tmp.jpg')
max_temp = max(max(sensor.pixels))
print(max_temp)
img0 = cv2.imread('./tmp.jpg')
img = img0[0:240,41:280]
img = img[:, :, ::-1].copy()
plt.subplot(1,2,1)
fig = plt.imshow(sensor.pixels, cmap="inferno", interpolation="bicubic",vmin=27,vmax=30)
plt.colorbar()
plt.subplot(1,2,2)
plt.imshow(img)
plt.text(0, 0, str(max_temp) + 'deg',size = 20, color = "red")
plt.draw()
plt.pause(0.01)
plt.clf()
except KeyboardInterrupt:
print("done")
で、これを動かした結果ですが
> python3 amg8833_plt.py
こんな感じのヒートマップと画像、そして温度の最大値が出ます。
3秒間に1枚程度の速度ですが、まあまあ使えます。
ただし、問題はその表示温度でして・・・
私と次男が映ってますが、体温はそれぞれ36.1度、36.5度。
ですが、ごらんの通り30度前後しか表示されません(28.25~30.25)。
1メートルほど離れたところでは大体6度ほど、2、3センチまで近づけば、2度ほどのずれのようでした。
ただ、安定して温度が表示されるので、キャリブレーションをすればまあまあ使えそうかなぁと。
となると、校正用に何人かの人(体温測定済み)が必要かと。
ちょっと、大変ですねぇ……
このまま使うなら、このセンサー上で「31度以上(1メートル)」となった場合は要注意、という運用でもいいかもしれません。
それよりも、なんとかこの2つの画像(ヒートマップとカメラ映像)を重ねたいですが、これもキャリブレーションが必要。
もし本気で作ろうと思ったら、ここからが大変ですね。どうしようか、考え中です。
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コメント
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毎日、じっとする場所でやるのが一番なので
トイレで大する時に扉にでも付けていれば
温度を測ることが出来るんじゃねーすかね?
ついでに自分の横にでも熱源(これもラズパイで
有線で熱を管理)を用意しておけば、温度差から
体温の比較にもなるんじゃないでしょうか。
これを会社でやるなら、社員証を使えばいつ
測ったのかも判りますが、管理されまくって
嫌がるのもいるか(汗
投稿: mokekyo | 2020年5月 5日 (火) 16時51分
> mokekyoさん
本当は出入り口にこっそり置いて、体温が高めの人が出てきたら警備員に警報を鳴らす程度の使い道が良いかと思うのですが……
いろいろ調べてみると、体表面から出る赤外線によって測定される温度は、実際の体温よりも数度ほど低く、しかもそれが周辺環境(つまり気温)に左右されるものだと分かり、一筋縄ではいかないということが判明。
もしやるなら、平熱の人の示す温度を1、2時間おきに測定し、その相対温度から異常を検知するという方法が現実的かと。しかも、距離も測定値に影響するので、1メートルのところで測定した結果を使うなど、決まった基準が要りそうです。案外、面倒ですね。
投稿: ディープタイピング | 2020年5月 5日 (火) 17時36分
非接触の体温計の制作にチャレンジしたいのですが体温を正確に測ろうとするとどのようなセンサーが良いでしょうか?
型番や大まかな制作過程などを教えて頂けると助かります
投稿: 開発太郎 | 2020年8月18日 (火) 18時07分
> 開発太郎さん
このAMG8833以外には、オムロンのセンサーしか買ったことがないのでなんとも言えませんが……
AMG8833でも、接近すればわりとちゃんと測れそうです。が、体表面の温度と体温の関係(周囲の気温で結構変わる)をいろいろな条件で測定してみないと、どんなセンサーを使っても役に立たないという感触です。
Interfaceの2020年8月号に、まさに非接触体温計を作ろうという記事が出てました。ご参考まで。
投稿: ディープタイピング | 2020年8月19日 (水) 01時05分
サーモグラフですが、AMG8833で測定すると反転しませんか?
他の方のブログ等を見ていると軒並み反転しているので・・
一部の方がinterpolation="bicubic"で補完するときに反転?されると
ありますが、interpolation="none"のオリジナル(8x8)にしても反転しているので
何とかできないものかと・・・(flipが使えれば楽なのですが・・)
投稿: | 2020年11月23日 (月) 20時48分
> ??さん
反転というのは、左右逆、つまり鏡像になっているという意味でしょうか?
そう言われれば確かに、鏡像になってます。今回のような使い方では良いのですが、ガンタイプの非接触体温計のようなものを作ろうとした場合、問題になります。
元々がエアコンなどの家電機器用に設計されているため、そういう設定になっているのでは?と勘ぐっていますが、定かではありません。ただ、ご指摘にあるようなinterpolationの値で変わるとは思えません。あれはあくまでもmatplotlibの画素補完方法の指定なので、関係ないように思えますが……間違っていたら、ご指摘下さい。
投稿: ディープタイピング | 2020年11月24日 (火) 18時06分
やっぱりラズパイは面白いねぇ。こんなセンサーも使えちゃうんだから。
投稿: mizudanngo | 2023年6月 6日 (火) 19時31分
> mizudanngoさん
おっしゃる通りで、安いセンサー類をさっと使える手軽さは、さすがと言わざるを得ません。
が、残念なことにラズパイもここ最近の情勢でずっと品薄が続いていて、価格が上がってます。夏以降に供給が安定するらしいので、そこまでの我慢でしょうか。
(SONYが安定供給にひと役かうらしいとの噂です)
https://sozorablog.com/raspberry-pi-supply-information/
投稿: ディープタイピング | 2023年6月 7日 (水) 16時24分