ゲームセンターあらしの作者 すがやみつる氏によるPython解説本「こんにちはPython」買ってみた
長らくPython解説本を探していたんですが、こいつが出るという話を聞いて、予約注文してました。
で、5月1日に到着。
この絵柄に懐かしさを覚える人も多いんじゃないでしょうか。そうです、1980年代に一世を風靡した、あの「ゲームセンターあらし」です。
その作者、すがやみつる氏は、実は「こんにちはマイコン」という本を書いていたことも、知る人ぞ知る話。
そんなすがやみつる氏の最新作がこちら、「こんにちはPython」です。
いわゆる入門書ですが、ちょっとかいつまんで紹介します。
この本、全部で190ページほどですが、そのうち56ページまでを使って、単純な四則演算とprint表示、変数、そして”Hello World”の解説にあてています。
一見すると随分と回りくどい感じがしますが、実はその解説の中で、Pythonの導入から基本的な構成、そしてエラーの読み方など、Pythonの基礎となるべく知識を分かりやすく漫画で描いております。
それが終わると、いきなりゲームの製作です。ゲームセンターあらしらしい展開……と思いきや、実に単純なゲームです。
数字を言いながら、3の倍数なら「フィズ」、5の倍数なら「バズ」、両方で割り切れる数字なら「フィズバズ」と言い換えるというゲーム。
当然、繰り返し文に条件文が登場します。このため、Python特有のこれが登場です。
そう、「インデント」です。
このPythonにおけるインデントの概念を、分かりやすく説明しています。漫画の力ですね。
ところでこの本、分かりやすいのは漫画の力だけではないです。
なんていうんでしょうか……トライアンドエラーをきちんと書いているというか、とにかく、こうするとこうなる、というのを手順を追って書いているんですよね。
例えば、これ。
1~6までの数字の乱数を発生させたいとき、単純にrandom関数を使うとこうなっちゃう(小数点以下何桁もの表示が出てくる)というのを示したうえで、それの修正方法(int等)を順を追って説明。
プログラムって、こうした「やっちまった」ことの繰り返しで覚えていくことが多いので、トライアンドエラーをきちんと書いてくれるのはユーザー体験的には分かりやすいことじゃないかと思います。
とまあ、こんな調子で話は進みますが。
最後は、こういうゲームを作ります。
後半ほどコードの解説が多いですが、わりと何とかなりそうです。
さて、私も社内でAI/機械学習系の普及活動をやってますが、そもそもこのPythonが分からないという声が多いのは事実です。
VBAやHTML、Javascriptなどの言語に触れたことがある人なら何とかなるんですが、そういう人ばかりではないのがこの日本という国の現状。
一方でPythonという言語は、そのままでは使われない言語でもあります。
大抵は「pip」コマンドで機能を実装して、importでそれを読み込んで使用する。まあ、それがPythonの良さでもあるんですが、一方で初心者を混乱させている元凶でもあります。
この入門書では、pipだのimportだのに頼ったプログラムは、ほとんどありません(とはいえ、乱数を使うときには「import random」等、多少はあります。まったく使っていないわけではないですが)。
本当の基礎を学ぶには、良書ではないかと感じました。
てことで、早速こいつを会社にもっていき、紹介して回ろうかと思ってます。さほど高い本でもないですし、やはり漫画ということもあって読みやすい。そこからあとは他の本なり、ネット検索なりで上達していけるきっかけとなればと思ってます。
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コメント
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子供の頃にリアルタイムで読んで、2002年に復刻された『ゲームセンターあらし対マイコン電児ラン+こんにちはマイコン完全版』も買った身ではありますが、今となっては少し物足りないかな。
オトナになった私は連休中は『モザイク除去から学ぶ 最先端のディープラーニング』でモザイク外し…いや、GANなどを勉強中です。
投稿: mo256man | 2020年5月 3日 (日) 22時55分
> mo256man さん
2002年の復刻版は知りませんでしたね。ゲームセンターあらしと、こんにちはマイコンは現役世代でしたが。
モザイクはず……いや、GANは大事な技術です。単なる画像生成ではなく、画像異常検知として使えるため、私もものにしたいんですけど、なかなかそれを動かせるだけのハードがなくて……
投稿: ディープタイピング | 2020年5月 4日 (月) 19時04分