第2世代のXeon Phiは72コア 8TFLOPS
Xeon Phiもようやく第2世代が出るそうです。
PC革命! 72コアで8テラフロップ性能のデスクトップマシンが来年発売 : ギズモード・ジャパン
Xeon Phiといえば、IntelのXeonプロセッサを搭載したコンピューター専用のコプロセッサ。20~30万円程度のボードを一枚挿すだけで、10倍もの演算能力が得られるという夢のようなボードです。
2016年前半にはこれを搭載したスパコンが出荷されるそうです。
ということは、来年のTOP 500にはこれを搭載したスパコンが上位に上がってくるかもしれません。ちなみに現在一位のスパコンは、第1世代のXeon Phiを搭載した中国の「天河2号」。
ギズモードさんでも下のような記事を書いております。
世界最速スパコン、日米を尻目に中国が大躍進のランキングに : ギズモード・ジャパン
ベクトル計算機からPCクラスタに変わったときと同様に、計算能力に対するコストが飛躍的に下がるきっかけとなったGPGPU、Xeon Phiといったコプロセッサの登場。
しかし・・・業務でスパコンを使っている者としては、現状ではあまりXeon Phiの進化が実感できないんですよねぇ。
大学などの研究機関で独自に作られているコードでは、このコプロセッサに対応したものが多く作られているようですが、流体系や構造解析系の有名どころのアプリケーションでコプロセッサに対応したものはまだまだ少ないんです。
今年のLS-DYNAフォーラムでもついに公式にはコプロセッサ対応が表明されませんでしたし。
流体系などでは一応対応を謳っているところもあるんですが、計算能力のわりに思ったより速度が出ないらしいです。
TOP 500で使われるLINPACというベンチマークソフトは、使用するメモリ量が少なく、本当にCPUの演算能力のみを測定するものですが。
コプロセッサボードと本体との大量のデータのやり取りが増えると、思ったより速度が出ないということになっているようです。
今回のXeon Phiには16GBメモリが搭載されているようですが、通常のアプリケーション(とくに流体系)ではこれ以上にメモリを使うものが多くて、これでも十分とは言いがたいようです。
残念ながら、多くの企業が使っているのは市販のアプリケーションがほとんど。これらでコプロセッサを活かせるようにならないと、なかなかこの手のボードが普及するにいたらないようです。
現在世界4位のスパコン”京”が実質的にトップクラスの計算機でいられるのは、この手のコプロセッサを使わない古典的な設計(いや古いわけじゃないですが、計算機構成としての話)であるがゆえに、従来のアプリケーションの利用が比較的容易で、かつ実行速度が出しやすいことにあります。
そのためにかかった費用が高いのは難点ですが、その分成果も出しやすいわけです。
某T社では3年かかる計算を、京はたったの3ヶ月でやってくれたという話も聞いたことがありますし。
でも、TOP 500でコプロセッサ搭載機が幅を利かせるようになった現在、そろそろ市販のアプリケーションでもコプロセッサへの対応に本気で取り組まざるを得ない状況になりつつあります。
個人的には早く対応して欲しいんですけどねぇ・・・これが使えればかなり安くて速いスパコンが導入できますし。でもなかなか現実はそううまくはいってくれません。
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コメント
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ソフトが無ければただの箱とはよく言ったもんです。
インテルは単純にこれらのボードをソフト会社に
無料とは言いません、評価機を提供すればいいと
思います。
PC-98も最初はそうだったみたいですしね。
投稿: mokekyo | 2015年11月29日 (日) 21時32分
こんにちは、mokekyoさん。
第1世代のXeon Phiがそれに近い形で提供していたようですが、さすがに第2世代となりアプリケーションも増えつつあるので、もう評価機を提供しなくてもやっていけそうです。でも市販アプリケーションが対応してくれないと、なかなか私のような立場では使いこなせませんね、このハード。
投稿: arkouji | 2015年11月30日 (月) 22時07分
既にやられてたんですね(汗
こういうアイテムは対応ソフトがあるかで
全然違ってきますからね。
投稿: mokekyo | 2015年11月30日 (月) 23時42分