Raspberry PiにKTV-FSUSB2つないで地デジ放送録画(TS抜き)やってみた
久しぶりに”TS抜き”ネタ。しかも今回、Raspberry Piで地デジ録画に挑戦します。
どちらも半田ごてを握った経験のある電子工作的なネタに使われた両者。意外なところでコラボレーションしました。
Raspberry Piは省電力ゆえに、録画機器に使うには理想的なコンピュータですね。
参考にしたのはこちら。
ラズベリーパイで地デジ録画するよ!KTV-FSUSB2 - ラズベリーパイで遊ぶよ~!
■ 準備編
まず用意するものは
(ハード)
(1) Raspberry Pi
(2) KTV-FSUSB2
(ソフト)
(3) recfsusb2n_http_patch2.zip
(3)の”recfsusb2n_http_patch2.zip”は、2013-03-02 - 適当な何かの別館へ行き”・KTV-FSUSB2/FSPCIE(recfsusb2n)”のところにある”Axfc UpLoader -2445882.zip-”をクリックすると、ダウンロードサイトへ行きます。
”キーワード:”を入れるところがありますが・・・”適当な何かの別館”のサイトをよーく見ると、ちょっと下のほうにパスワードが書いてあります。これを入力すると入手できます。
この”recfsusb2n_http_patch2.zip”をRaspberry Piに転送するんですが、私はFTPを使いました。
以前Raspberry Piで部屋の気温をモニタリンクさせてみたの記事を書くときにもお世話になったRaspberry Pi / Vsftpd(FTPサーバー): IT備忘録を参考にFTPサーバーをRaspberry Piにインストール、PC側はFFFTP - 窓の杜ライブラリからFFFTPをインストールしておきます。
で、あらかじめRaspberry Piを起動、FFFTPで”recfsusb2n_http_patch2.zip”をRaspberry Pi内に転送しておきます(回答しなくてOK)。
このFTP転送環境は、Raspberry Piに録画したデータをPCに持ってくるときにも役立ちます。(代わりにSambaを使ってもOK)
■ KTV-FSUSB2設定編
sudo apt-get update
と
sudo apt-get upgrade
を行った後に、
sudo apt-get install libboost1.50-all
を実行して必要なライブラリをインストール。また
sudo apt-get install git
を実行して”git”も入れておきます。
そのあと
git clone https://github.com/sh0/recfsusb2n
と打ち込んで、”recfsusb2n”を入手します。
が、このままではRaspberry Piで使えないため、パッチを当てる必要あり。
このパッチが、先の”recfsusb2n_http_patch2.zip”です。
以下のように作業します。
”recfsusb2n”ディレクトリに移動。
cd recfsusb2n
”patch”というフォルダを作ります。
mkdir patch
”patch”ディレクトリに移動。
cd patch
ここに”recfsusb2n_http_patch2.zip”を移動します。
mv /home/pi/recfsusb2n_http_patch2.zip ./
(Raspberry Piのホームディレクトリにrecfsusb2n_http_patch2.zipがある場合)
”recfsusb2n_http_patch2.zip”を解凍します。
unzip recfsusb2n_http_patch2.zip
以下の5つのファイルを”recfsusb2n”ディレクトリの”src”ディレクトリに移動しておきます。
mv Makefile ../src
mv fsusb2n.cpp ../src
mv tssplitter_lite.h ../src
mv decoder.h ../src
mv tssplitter_lite.cpp ../src
”src”ディレクトリに移動し
cd ../src
”Makefile”を編集します。
vi Makefile
または
nano Makefile
使い慣れてるテキストエディタで開いて下さい。
編集するのは、
・ 11行目の”CXXFLAGS =”の後ろの”-march=native”の部分を消す。
・ 13行目の”CFLAGS =”の後ろの”-march=native”の部分を消す。
・ 15行目の”#LIBS”の”#”を消して”LIBS”とし
・ 16行目は逆に”LIBS”の頭に”#”を挿入して”#LIBS”とし、この行をコメントアウトします
出来たら”Makefile”を保存。
ここでmakeします。
make
数分待つと、”recfsusb2n”という実行ファイルが出来ます。
パスの効いている/usr/local/binあたりに移しておきます。
sudo cp recfsusb2n /usr/local/bin/recfsusb2n
これで実行ファイルは完成。
次に設定ファイルを作ります。
cd /lib/udev/rules.d/
としてディレクトリを移動、
sudo vi 89-tuner.rules
(”vi”のところは”nano”でもOK)
としてファイルを開き、中に
# FSUSB2N
SUBSYSTEM=="usb", ENV{DEVTYPE}=="usb_device", ATTRS{idVendor}=="0511", ATTRS{idProduct}=="0029", MODE="0664", GROUP="video"
といれて書き込み保存。
ここで一旦Raspberry Piの電源をダウンします。
■ Raspberry Piで地デジ録画編
いよいよKTV-FSUSB2をつなぎます。接続後、Raspberry Piを起動。
lsusb
と打ち込んで
ID 0511:0029 N'Able (DataBook) Technologies, Inc.
というような項目が出ていればひとまず成功です。
ところで、うちにはFSUSB2が2台あるんですが(初期版と泡版)、このうちKTV-FSUSB2でTS抜き1(TVTest編): EeePCの軌跡で扱った”初期版(S/NがK0905で始まるやつ)”のほうは上のような表示が出るんですけど、”泡版(S/NがK091で始まるやつ)”はぜんぜん違う名前で認識されました。録画テストでも認識せず。
録画テストをします。
recfsusb2n --b25 --sid hd --wait 100 13 10 test.ts
と入れるんですが、ここで”13”のところはチャンネル、”10”のところは録画時間(秒)、最後の”test.ts”は録画ファイル名です。
このチャンネルというのが曲者で、リモコンの数字とは異なります。以下のサイトでチェック。
地上デジタル放送 チャンネル一覧表 - マスプロ電工|MASPRO
私のところは”瀬戸タワー”なので、Eテレを録画したい場合は上の表よりEテレ(NHK教育)のところにある”13”を使います。
(余談ですが、マスプロ電工の本社ってうちのすぐ近くの日進市にあります)
録画されたデータをFFFTPでPCに持ってきて、録画データを確認。
案外(?)ちゃんと録画できてました。
上のコマンドを毎回打つのは大変なので、下のようなシェルスクリプト(ファイル名:recfsusb2n.sh)を作成。
実行形式にして
chmod 777 recfsusb2n.sh
あとはチャンネルと録画時間、ファイル名を書き換えて、
./recfsusb2n.sh
と実行すれば指定時間分録画してくれます。
”チャンネル”はあらかじめ下のコメント行に入れておけば、これを参考に変えられます。
ところでフジ系列の”東海テレビ”がありませんが・・・まあ以前に「嫌なら見るな!」って言われたので、disってるんです、このチャンネルだけは。
■ 運用編
ここから先はインストールなどはありません。
このRaspberry Pi + KTV-FSUSB2でTS抜きの地デジ録画環境を構築しようとすると、やっぱり以下のことが出来ないといけません。
(1) 予約録画
(2) 長時間録画
(3) 他PC・他端末への転送やエンコード環境
(1)については、Windowsの”tvrock”のLinux版とも言うべき”Chinachu”というのがあるそうですが。
LIVA に Chinachu を導入して録画サーバーにする - mimikakimemo
これがRaspberry Piで動いたというのは見つけられず。ChinachuサーバーとRaspberry Piをリンクさせてるっぽい記事は見つけたんですが・・・
Linuxらしく”crond”や”at”なんていう時間指定で実行可能なコマンドを利用するという手もあるかもしれません。
Linuxコマンド集 - 【 at 】 指定時刻にジョブを実行する:ITpro
その前に、Raspberry Piは内蔵時計を持たないため、時刻あわせをしないといけません。注意。
ラズパイで電波を送り電波時計を合わせよう - [4]ラズパイの時間を正確にする:ITpro
(2)についてはちょっと注意が必要です。
Raspberry Piに突っ込んでるSDカードは大抵FAT32だったりしますが、FAT32の1つのファイルサイズ上限が4GBまでしか対応していません。
もしSDカードに直接録画する場合は、余裕を見て30分程度までしか録画しないほうがよさそうです。長時間録画をやらせたいならRaspberry Piにntfsを認識させて外付けHDDをつけないといけません。
Raspberry PiでUSB外付けHDDをフォーマットして自動マウント | Frog Code Works
(3)ですが、エンコードはPCでやらせたほうがいいとして・・・Raspberry Piで直接TSファイルを見るならともかく(あまり快適ではないらしいですが)、PCやスマホに持っていくなら何らかの転送手段を確立しないといけません。
手っ取り早いのはやっぱり”Samba”ですかね。NASと同様のアクセス環境が得られます。
ただ心配なのは、Raspberry Piのパフォーマンスをさげないんでしょうかね?以前、Raspberry Piでは荷が重いと聞いたことがあります。
ちょっと運用まで考えると、ハードルの高さのわりにあまり快適とは言いがたいRaspberry Piの地デジ録画環境。それでも、消費電力の低さがRaspberry Piの魅力ですから、構築したいと思われる方は多いんじゃないでしょうか?
私はとりあえず、PC環境でいいかなぁ・・・そんなにテレビ見ませんし。
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