「おらに元気を分けてくれーっ」的なスマホの分散コンピューティング技術をHTCが開発
HTC製スマホだけでなく、他メーカーのスマホにも使えるようにするようです。
みんなで力を合わせるんだー! スマホの処理能力をスパコン級にするHTCの新技術とは? | TABROID(タブロイド)
SETI@Homeより始まった個人PCを分散コンピューティングに活用する試みはついにスマホにまで及んできたようです。
SETI@Homeでの分散コンピューティング手法は、その後"BOINC"という団体が配布する汎用型の分散コンピューティング用ソフトに変わりPC上で稼働したはずですが、調べると今やPC上ではかなり下火となってる模様。
このHTCが発表したこの分散コンピューティング手法"Power To Give"は要するにこのBOINCのAndroid版のようです。
このアプリはスマホが充電中のみ動くようになっており、バッテリーの消費が増えて困るということは起こらないようです。ただし、充電時間は伸びてしまいますね。
たかがスマホのCPUと侮るなかれ。今や何億台ものスマホ/タブレットはこの世にあり、このうちほんの数%参加するだけでもスパコンレベルの計算能力になります。
このPower To Giveにより、がんや難病の治療に関する研究などに貢献できるとされています。
もちろん、SETIの地球外生命体から発せられた電波が飛んでないかという研究も可能です。
ただ分散コンピューティングの難しいところは、計算機をかき集めればスパコンと同じ計算ができるか?ということ。
例えば流体解析では、小分けにされた計算モデルの間を物質が行ったり来たりするため、頻繁に他の端末(ノード)と通信しなきゃいけません。
ところが通信したい時に相手が計算できる状態にないと、その隣の領域を計算してる人は進められなくなります。
実は分散コンピューティングにはこういう隣同士の連携が大事って計算問題の方が多く、小さな計算機を寄せ集めるより高速な計算機を速いネットワークで結ぶ方が同じ理論速度でも早く計算ができるという結果になることがほとんどです。
今世界一と言われてる何処かの国のスパコンは日本の京より速いですが、大きな成果が上がったという話を聞かないのはそんな事情もあります。実質的には京が世界最速で流せるものも多いようです。
小さな計算機を集めて高速化できる問題としては、例えると広大な畑の芋掘りを多人数でやる、というような計算だと効果を発揮します。隣の人がいなくても自分の持分には影響しない、というものでないと、このPower To Giveは計算出来ません。
とはいえそういう計算需要も少なからずあることはあります。それゆえHTCがPower To Giveを推進してるわけですが。
別の問題もあって、例えばある難病の薬を開発するためにこういうボランティア版の分散コンピューティングを使って計算して、その結果新薬が開発出来たとして、その薬の特許を特定の会社が独占することになる(計算を依頼した会社のものになる)のは変じゃねえ?とはBOINCが始まった頃から言われてたことです。
SETIという機関が儲け度外視の純粋な宇宙人探しだったのでまだ違和感なく参加できたのに対し、特定の企業の利益にしかならないものに利用されてるんじゃないかという懸念が出ちゃうと、この手のボランティア事業は盛り上がらなくなります。
何らかの条件(得られた成果はオープンソース化する など)がないと、またしぼんでしまう気がします。
SETI@Homeなら私は参加してもいいかなあ。というわけで、うちのNexus 7に入れられるようになったら、ためしてみようかと思ってます。
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コメント
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BOINCを使った、World Comunity Grid のプロジェクトの成果は全て無料で公開されると聞きました。これも医療関係が多いので、ここに参加するのもありだと思います。
投稿: ななしさん | 2015年4月11日 (土) 17時49分
こんにちは、ななしさん。
プロジェクトの成果を無料公開というのはなかなか斬新ですね。
かつてこの手の成果をどうするかという議論がありましたが、オープンな解析環境を使うなら成果もオープンで、という流れになってきたんですね。
投稿: arkouji | 2015年4月11日 (土) 19時06分