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2013年10月 9日 (水)

堀越二郎著”零戦”読んでみた

近所のエディオンでmicroUSBケーブルを買いに行ったついで、そのエディオン横の本屋で思わずこんなものも買ってしまいました。

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実は私が小学生のときに図書室で読んでいた本でして、最近復刻してました。やはりあの映画のおかげでしょうか。

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堀越二郎氏が昭和45年ごろに自ら書かれた本で、零戦開発秘話としては超一級の資料の一つじゃないかと。

小学5、6年生の頃に堀越二郎の零戦開発の話を読んだことが、私を工学への道に歩ませるきっかけの一つだったんです。あのころから工学部志望。ただしその頃は航空系に行くつもりだったのですが、それはどこかで道を踏み外したようで。

やはり何となく読んだ覚えのあるところはあるんですが、今読んだ方が大人の事情ってやつがよくわかるためか、この内容が身にしみてわかります。

当時はCAEはおろか電卓すらなくて、設計者自ら強度計算などで図面を引いてた時代。

今はCADなど進んだ道具があるというのに、断面2次モーメントという梁計算の基本的なものも理解しているのかどうか分からない人が、なんとも酷い図面を書いてきてはCAEで評価してくれという・・・いや、なんでもありません。

堀越二郎氏にしても、いきなりすごい飛行機を作ったわけではなく、七試艦戦という失敗作を経験して九六式艦上戦闘機、そして零戦と完成度を上げていったわけです。

軽量化の工夫などを読むと、乾いた雑巾を搾り出すような地道な努力の繰り返しをしていたことをうかがわせる逸話がいくつも出ております。まさに設計者の鏡。

この頃はそれこそCAEなんてシミュレーション技術がないわけですから、いきなり試作機。失敗が許されない状況で書く図面って本当にいろいろ考えながら書いていくんです。あの緊張感は、今はよく理解できます。

それにしても最近はCADなんてあるのに、どうしてこんなところに穴あけるのよ (;´Д⊂) なんてものが・・・いやなんでもありません。

ところで最近ふと思うことがあるんですが、日本のものづくりがだめになってきている背景には、技術者自身が技術に限界を設けてしまっていることが原因の一つじゃないかと。

簡単に言うと、本来製品に対する要求があって、これを実現するために技術検討する、という流れが、既存の技術で出来ることに製品要求を合わせる、ということが行われてるように感じてしまうのです。

私も製品開発の現場にいる人間の一人ですが、製品への要求に対して”これじゃ出来ない”とか”意匠をこうやって変えてくれ”とか平気で要求する人というのをたくさん見ております。

簡単に言うと、出来ない理由を述べるのがうまい人が多い。俗にこういう人を”真面目系クズ”というらしいですが、そういう類の人が増えすぎてるのが今の日本の現状じゃないかと思うんです。

私もそんな一人になりかかっているという自覚がありますね。

ただ私の場合は、なるべく”こうすれば出来る”という技術的なラインを示すように心がけております。

これが突破口となって、案外出来ないと思っていたことが出来るようになったという事例にたくさん立ち会ってきました。

こうなった背景には、トップからの技術的裏づけのないコストダウン・期間短縮要求の優先、マネジメントやTOEIC点数の方が技術力より優先される最近の日本企業の傾向などがあるようです。

技術立国なのに、技術をないがしろにしたら元も子もないのに。

そのあたりが顕著に現れているのがスマホ業界じゃないでしょうか。

日本メーカー製のスマホを見ると、実は技術者自身が設けた製品要求に縛られた製品が多いように思えます。

だからiPhoneあたりと比べるとどうしても中途半端な性能に見えてしまう。たしかにほんのちょっとの使用感・デザインの差しかないんですが、私を含めユーザーは敏感に感じてしまう。

そのことが売り上げにおいて雲泥の差を生んでしまう。これがスマホ業界の現状じゃないでしょうか。

日本企業のスマホ事業撤退についてはツートップ戦略が引導を渡したといわれてますが、魅力ある製品を生み出せなかった内部事情の方がよっぽど主要因です。

未来を見通せない経営者、出来ないを連呼する技術者、多分今”零戦”レベルの飛びぬけた製品を作れといわれたら作れないでしょう。

この本も後半になってくると、後継機の開発に集中できず、いろいろな仕事を押し付けられている堀越氏の姿が出てきます。結局その後の日本の戦闘機がどうなったかは既に歴史が示している通りです。

日本のものづくりを復活させる原点は、実はこの「零戦」にあるような気がしてなりません。多くの人に読んでもらいたいですね、この本。

零戦 その誕生と栄光の記録 (角川文庫)

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