「ニュートン」買いました
会社帰りにふらっと寄った本屋で、つい買ってしまいました。
理由は、表紙に書いてあるタイトルが気になったから。
”「無」の物理学”ではありません。下のほうに小さい字で書いてある”スーパーコンピュータとは何か?”のほうです。
・・・立ち読みでもよかったのですが、つい買ってしまいました。
タイトルでも察しがつきますが、中身を読んで感じたこと。これは明らかに”事業仕分け”を意識してますね。
スパコン事業をめぐり、どっかの議員が”世界2位ではだめなんですか?”という発言をしたことで有名です。
紳士な雑誌なので、あえて”事業仕分け”には触れてませんが、”なぜ「速さ」が重要なのか?”と説明しているところを見ると、やはり意識しているとしか思えません。
あまり政治の話に突っ込みたくありませんが、あの事業仕分けはちょっとひどかったですね。いまどきPowerPointも使わないでよく説明してるなぁと見てました。
プロジェクターくらい準備できなかったんでしょうかね?
もっとも、スパコン事業を説明する側にも問題がありますね。”世界2位ではだめなんですか?”なんて簡単な質問、私でも答えられます。
答えは”世界1位でもだめだから”です。
解析をやっている人ならわかると思いますが、今のシミュレーションなんて正直妥協の産物です。もっと詳細なモデルで計算をさせたいのに、コンピュータの能力がなさ過ぎて簡素化してしまっているのが現状です。
より精度の高いシミュレーション解析を可能にするコンピュータをつくると結果的に世界一になってしまうだけのことです。
あの場に解析の経験者はいなかったんですかね?もっとも、それで結論が変わったとは思えませんが・・・
スパコンというと地球シミュレータが有名ですが、あれも当時世界一の性能。目指したのはその名のとおり”地球をシミュレーション”することであって、別に世界一を狙ったわけではないです。
あの計算機のおかげで、地球温暖化が進むととんでもない気象状況になることが予測されました。カトリーナ級の台風が毎年来たり、雨が極端に少ない地域ができて砂漠化が進むことがわかったり・・・
費用対効果に見合わないものは作っちゃいけませんが、これまでを見る限り、スパコンは確実に元を取ってます。とりわけアメリカが熱心なのはそのためです。
新薬の開発や、分子動力学といった分野では、まだまだスパコンの性能が足りないと聞いたことがあります。今の世界一マシンよりあと1000倍速いマシンが出てきても足りないでしょうね。
私の会社でも数百CPU以上のクラスタマシンがあるんですが、たった半日で終わる計算をするのに何日もまたされてます。ああ、世界一のコンピュータが欲しい・・・
・・・おかげで最近愚痴が増えてきた気がします。ストレスたまりすぎ?
政治的な話はおいておき、「ニュートン」はなかなか読みやすい本です。なんと言っても図が多いので子供が大喜びです。多分中身はわかってないと思いますが(笑)
”「無」の物理学”というところでは、「無」とは何もない空間ではないらしい、という哲学めいた内容でした。その証拠に、宇宙の膨張速度がどんどん速くなってるんだとか。へぇ。
たまに読むと面白い雑誌ですよ。
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なるほど。。納得です
【より精度の高いシミュレーション解析を可能にするコンピュータをつくると結果的に世界一になってしまうだけのことです。】
このセンテンスは激しく納得させられました
ちなみに哲学は好きです
詳しくありませんが・・
ts以外のページを今まで拝見していませんでした
「EeePCの軌跡」
いままではお気に入りに入っていましたが
本日からデスクトップにショートカットを作ってしまいました
ヽ(´ー`)ノ
投稿: karukann3 | 2010年3月 6日 (土) 20時50分
こんにちは、karukann3さん。
これからも御贔屓にお願いいたします(笑)
仕事でコンピュータを使っている関係で、あの「世界2位じゃ駄目?」発言が許せない立場にいまして・・・
うちの部署でも解析用の新しい計算機を導入しようと、必要性能の見積もりをして偉い人に報告しますが、なんのかんのと文句をつけられて再提出。
そうこうしているうちに世の中CPU性能がどんどん上がってきて、一方で性能はどんどん削られて、議案が通って導入するころにはすでに時代遅れ、というのを繰り返し経験してます。
計算屋の要求は満額通さないと、かえってお金の無駄になるということですね。
投稿: arkouji | 2010年3月 7日 (日) 12時26分