フリーの衝突解析ソフト「Impact」
最近、EeePC 1000H-Xでフリーの衝突解析ソフト「Impact」を使っています。
といっても、サンプルデータのいくつかを呼び出して計算しているだけですが・・・
今有限要素法のフリーのソフトウエア CalculiX を試すというブログで、ちょっとづつ使い方が紹介されています。
私なりにこの「Impact」を紹介しますと・・・
・ フリーの陽解法FEMコードで、主に上のような非線形解析用のプログラム
・ JAVAで動作するため、JAVA環境があればOSを選ばず動作する(実際、XP、Vista、Ubuntuで動かせました もしかするとAndroidも・・・?)
・ ソルバー(解析プログラム)だけでなく、プリ(形状作成)、ポスト(計算結果表示)機能も備えている統合ソフト
下のサイトより入手することができます。
http://impact.sourceforge.net/
このサイトの中ほどの「Download & Installation」の下にある「The Impact Program」をクリック、次に表示されるページの「Download」をクリック後出てくるページで「Download」をクリックするとまたまたページが表示されて・・・やっとここで出てくる「Impact-0.7.5.zip」をクリックするとダウンロードが開始します。
このzipファイルを解凍すると、なにやらたくさんファイルが出てきます。
Windowsでは、この中の「ImpactGUI.bat」をダブルクリックすると、IMPACTが起動します。
Ubuntuでは「ImpactGUI.sh」を実行します。ダブルクリックで起動しない場合は、端末を開いてやり、Impactのあるディレクトリに移動後、
chmod 777 ImpactGUI.sh
として、「ImpactGUI.sh」を実行形式にしてやり、
./ImpactGUI.sh
とすれば実行されます。
ここでJAVA環境が整っていない場合は起動しません。JAVAはWindowsならhttp://www.java.com/ja/からダウンロードできます。またUbuntuなら「追加と削除」で「JAVA」を検索すると出てくる「OpenJDK」というパッケージをダウンロードすると使うことができました。
とりあえず、モデル読み込み - 計算投入 - 結果表示までの一連の流れだけを書きます。
まず、開いたIMPACTで、上のタブを「Processor」に切り替えます。
そこでフォルダアイコンをクリックしてファイルを開きます。解凍したIMPACTのフォルダの中にある「examples」の中の「~.in」というファイルのどれかを開きます。
ここでは「tracker.in」というのを開いています。
こんな画面になっているはずです。
この解析モデル、3Dデータなので、回転させたりすることができます。
ちょっとややこしいですが、操作方法は以下のとおり、
・右クリックでドラッグ ・・・ 平行移動
・Shiftキー+右クリックで前後にドラッグ ・・・ 拡大・縮小
・Ctrlキー+右クリックでドラッグ ・・・ 回転
・・・こればっかりは慣れるしかないです。
要するに、角材(先端部分に2つビードあり)の軸圧縮解析です。
計算は左側にある再生ボタンのような緑の三角マークを押すだけです。
これをEeePC 1000H-Xでやろうとすると予想時間1時間!!といわれたので(実際には90分かかりました)、メインPCで実行しました。Pentium Dual Core E6300で約10分かかります。速いですね。
さて、計算が終わったら、今度はタブを「Post Processor」に切り替えます。
ここで同様にフォルダアイコンをクリックしてファイルを開きます。
同じく「examples」をのぞくと、「tracker.in.flavia.res」というファイルがあるのでこれを選びます。
モデルの回転・移動・拡大/縮小は先ほどと同じです。
解析結果なので、コンター表示、アニメーションができるようになっています。
コンター表示とは、上のような物理量の分布を色で表した表示のことです。上の例では、「Result」を「Strain(I)」とし、右上の「Min」「Max」の値をそれぞれ0、0.05とした場合です。
さて、この変形をアニメーションするには、左下の「Time step」の「0.0」をクリックしてやり、そのままカーソルキーの下を押すと動きます。
押しっぱなしでは速すぎる場合は、小刻みにカーソルキーを上下してやればゆっくり動きます。
使い道は・・・まずこの解析用メッシュ形状の作り方がわからないとだめですね。物性値データも必要ですし、CAEに関する知識もある程度は必要です。
サンプルデータを使う限りはベンチマーク・PC負荷テストとして使えるくらいでしょうか。
そういえば、当たり前かもしれませんが、Ubuntuの計算結果をWindowsに持ってきても見ることができます(逆も可)。ただし、同じフォルダ内に~.resと~.mshの2つのデータがないと読み込めません。
なので、激速Ubuntuマシンで計算させておいて、ネットブックに計算結果ファイルを持ってきて結果を見るということも可能です。
ついでに、今回計算した軸圧縮モデル、よく見ると角柱の一方にのみ側面に2箇所のへこみ(私のところではビード、と呼んでますが)がついています。
ここをきっかけに角柱がつぶれ始めています。
実際の車にも採用されている構造で、たいていどの車でも、ボンネットを開けてみるとエンジンを支えるように配置されている2本の太い骨格部材(サイドメンバー)があり、この先端にもこのようなビードがつけられています。
先端部でうまくエネルギー吸収させるために、わざとこういう構造を入れています。
ビードなんてないまっさらな構造のほうが荷重が高くなりますが、その代わり軸方向につぶれずに横に折れたりして不安定になります。
またビードをたくさん配置しすぎると、やわらかくなりすぎてそれはそれで不都合です。
ビードの最適配置は、上のような解析の元に作られることもあります。
うちの会社では、この手のソフトとしてはLS-DYNAが使われています。ただし、とても個人では買えない値段らしいので、FEMの勉強にはこの手のフリーソフトでやるのが一番いいかもしれませんね。
ところで、このソフトを数日ほどEeePC 1000H-Xで使って感じたこと。
それはやっぱりマウスがほしいということですね。トラックパッドで「Ctrl+右ボタンドラッグ」はかなりしんどいです。
やっぱり、こいつを買おうかなぁ・・・
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