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2008年11月26日 (水)

企画会議は多数決で決めるな

PC onlineは時々いい記事を書いてくれます。今回もなるほどと思う記事ですね。

PC online:企画会議は多数決で決めるな!――「ポメラ」誕生の裏話

内容はテキスト入力専用機「ポメラ」の開発裏話ですが、Netbookブームにもつながる話じゃないかと思えました。

ポメラを企画会議にあげたとき、15人の役員のうち、賛成したのはたった1人だったそうです。

ところがその一人が「今すぐにでも買いたい」と熱烈に支持したため、社長が「15人のうち、一人がこれだけほしがるのなら売れる商品になるんじゃないか」とゴーサインを出した、という話です。

このキングジムの社長さん、持論は「多数決で決めるな」だそうで、みんなが「なんとなくいい」と思って決めた商品より、少数の人でも熱烈に押す商品こそが売れる可能性が高い、というわけです。

ふと思ったのは、EeePCがまだないころに、果たしてNetbookの企画にゴーサインする日本メーカーがあったかということです。

答えはもちろん「なかった」です。こんなもの売れるわけがないという多数の意見に押されて却下され続けたわけです。なにせEeePCが売れている現実を見てもまだ「あれは一時的なものだ」とタカをくくって、結果出遅れたメーカーばかりでした。

日本のノートPC市場を見ると、余計なソフトがてんこ盛りで、地デジチューナーかワンセグ付、BDドライブもつけてというPCがたくさんあります。

でも、残念ながらこのようなPCが市場をどんどん縮小していきました。Vistaの出る前後ごろからNetbookが出るまで、売り上げが前年度を超えるということはありませんでした。

これも多数決の結果、作られた商品なんでしょうね。多くの人の「あったらいいね」をかき集めた結果、てんこ盛りで高額な商品となったわけです。

あまり関係ないかもしれませんが、Appleのジョブス氏は「ユーザーにほしいものを聞いても仕方がない。本当にほしいものは、ユーザー自身にはわからない」というようなことをいったらしいです。

結果、iPodを世に送り出し、空前のヒット商品となったわけです。確かにiPodが出る前、あの形態のMP3プレーヤーがほしいといった人はいないわけですが、気がついたらみんながほしい商品になったわけです。

今後Netbook、いやPC市場を制するのは、少なくとも多数決で決まった玉虫色の商品ではないでしょう。iPodのような強烈な個性をもったものがいきなり登場し、市場の大半を席巻してしまうこともあるかもしれません。噂ではAppleも低価格のミニノートを出すようです。強烈な”なにか”をやってくれることを期待します。

当のポメラはあちこちで予約販売になっています。値段はちょうど2万円くらいが多くなってきました。

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コメント

こんにちは。
リンク先の記事を読んで、目からウロコが落ちるような気持ちです。また、iPodも
あのようなことから誕生したのですね。
arkoujiさんの解説、とても読み易く・解りやすいです。ありがとうございます。

ポメラの画像を見て、今でも所有しているThinkPad 701cを連想しました。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20380596-12,00.htm

この商品、ネットブックがこれだけ安価に出回らなかったら購入していたかもしれません。同じようなトップの考え方、シュチエーションを、カ*オの*ショック(だったと思うのですが。。。)開発&販売会議の物語を何かの雑誌で読んだ記憶があり、その時も「なるほど」と思ったものです。

こんにちは、mura74さん。
懐かしいですね、ThinkPad 701c。大学の生協で見たとき「欲しい!」と思ったのですが、たしか値段が恐ろしく高かった記憶があります。
ポメラと似たようなキーボードでCLIE用の折りたたみキーボードを持っていました。結局CLIE側の反応が遅すぎて使いものにならず、引越しのときにどこかへまぎれて分からなくなってしまいました。

こんにちは、intersectさん。
反対されてつぶされそうになり、それでも意地で作り上げた商品が大ヒットすると言う話はよく聞きますね。Gショ○クのカシ○でも、他にはデジカメにもそんな話がありました(プロジェクトXでやっていました)。
液晶やVHSも社内の反対勢力を押しのけて作ったという話が(これもプロジェクトXで)ありました。気が付いたらどちらも世界を席巻するほどの商品にのし上がりましたね。ポメラもかなり売れているそうですし、空前のヒットをして欲しいですね。私も欲しいです。

こんにちは。
>大学の生協で見たとき「欲しい!」と思ったのですが、たしか値段が恐ろしく高かっ
>た記憶があります。

そうですね。ブームの頃は、確か7~80万円だったように記憶しています。でも、私
はブームの終わる頃にT-ZONEで35万円位で買いました。キーボードがフルサイズ
なのでテキスト入力はとても楽でした。

話は変わりますが、CFD販売から安価な高速SSDが出るのですね。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1127/cfd.htm

こんにちは、mura74さん。
安くなったとはいえ、35万円もしたんですね。これほどの値段だとなかなか手放せませんよね。
CFDも攻勢に出てきたといったところですね。正直これまでのSSDはプチフリだらけで評判がよくなかったようですから。
これでまた一段とSSDが安くなってくれるとユーザーとしてはうれしい限りですね。

こんばんは♪

記事を読んでいて、激しく共感致しました!

メーカーの方で一人でも欲しいと思えば
たとえ少数派でも、
そういった商品を求めている層が存在するという事ですねw

メーカーもせっかく開発した商品が売れなければ
“ビジネス”が成り立たないのは分かりますが、
冷静に今までの大ヒット商品の事例を見ると
確かにそういったものを求めていた人から
様々な人々へ広がっていく。。。といった感じですね♪


EeePCを始めとするNetbookなんて
何でも感でも機能搭載した
国内メーカー製のノートPC製品ばかり見慣れてきた
我々日本人には到底想像もつかなかった商品ですよ(^^;

新しいThinkPad手に入れたら、
次はNetbookに手を出してみようかと前向きに検討中です♪

こんにちは、のりゅーさん。
この記事を見ると意地でも?ポメラを手に入れたくなりますね。
結局コンピュータ関連の商品といえども、最後はCPUなどの性能ではなく、人間で決まるんですよね。Netbookやポメラはそのいい例です。
ポメラもすごいですが、キングジムの社長の決断力もすごいですね。こういう人がうちの会社の偉い人だったら・・・なんて思いますね。

引用された元記事を執筆した
日経PC21編集部の小谷と申します。

取り上げていただき、ありがとうございました。
また、非常に洞察力のある分析をしていただき、
私自身、とても参考になりました。

ちなみに日経PC21の次号(12/24発売)の
編集長インタビューで、
ポメラの開発者に話を聞いています。
ぜひ読んでみてください。

こんにちは、小谷さん。
記事を書かれた方にコメントを頂けるとは思ってもいませんでした。ありがとうございます。
いい記事でしたので、つい引用してしまいました。
次号の日経PC21を見てみます。ポメラも売れているようですし、非常に興味がありますね。

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