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2008年10月 1日 (水)

「ネットブックは安くない」にもの申す

割と優良な記事の多い日経のPC onlineですが、こんな記事が乗っていました。

PC online:【CEATEC】「ネットブックは安くない!」――戸田覚氏がセミナーで断言

この戸田氏の主張を大まかに書くと、

(1)ネットブックは安いといわれているが、これと同等か安い値段でフルサイズノートが売られている

(2)このフルサイズノートこそ、1台目PCとしてふさわしい

(3)本当のモバイルPCが必要なら、バッテリ駆動時間や処理速度を考えると、借金してでも20~30万円くらいのものを買うべき

というところでしょうか。

もっともな意見です。が、評論家を名乗るなら、もう少し背景を考慮してほしいと思います。

まず(1)のネットブックより、フルサイズノートの方が安い、という主張。確かにこれは正しいです。しかし、なぜ「安い」のか、が抜けています。

一年前、EeePCが出る前のノートPCの値段は安くて8万円台。うちの近所では10万をくだらない値段でした。しかし、EeePCやNetbookがブレイクしてやっと値段が下がってきています。

つまり、Netbookが安くないのは、低価格ノートPCがNetbookに対抗するために下げてきた、という言い方が正解です。実際、私のブログの過去記事にEeePCに対抗するために価格を下げてきたノートPCを紹介したことがあります。

もしNetbookがなかったら、いまだに重いVistaをのせたぼったくり価格のノートPCがまかり通っていたことになります。

(3)については、確かにこれももっともな意見です。しかし、世の中バッテリ駆動時間が長いこと、堅牢さがあることだけをモバイルPCに求めているでしょうか。

ビジネスではそういうシーンは多いです。顧客との打ち合わせの最中にバッテリが上がってはなんともなりません。毎日持ち歩くので堅牢さも大事です。

しかし個人でそこまでいるんでしょうか。

私がEeePCを買うことで変化したことは、このブログを書くようになったことです。デスクトップでは場所が固定されるので、寝る前に寝床で書くというわけにはいきません。EeePCなら寝床や食後のテーブルの上など、どこでもブログを書けます。

これくらいの用途なら別にバッテリ駆動時間も堅牢さも要りません。下手をすると、普通の人ならこの程度の用途ができるPCで十分じゃないかとも思えます。

Netbookが売れているのは、何も安いからだけではないと思います。戸田氏のおっしゃるとおり、フルサイズノートPCの方がいまどきは安いです。

でもなぜかNetbookに惹かれてしまうようです。実際、価格.comでは注目度ランクでNetbookばかりが、フルサイズノートPCを押しのけて上位にひしめいています。

さて、今、電気屋のPC売り場にいると思ってください。左に14インチクラスで5万円台のノートPC、真ん中にEeePC 901、右にLet’s Note。

パソコン好きなら左に目が行くでしょうが、なんとなく真ん中か右に目がいきませんか?大きいノートPCはボタンが多すぎて逆に引いてしまう雰囲気があります。

さて右と真ん中に目をやると、当然値札が見えてきます。多くの人はここでLet's Noteの高さに唖然としてしまうんじゃないでしょうか。

実は真ん中にEeePCがなくても状況は変わりません。これまでは、この値段の高さで多くの人がノートパソコンの購入をあきらめてしまっていただけです。やっと、「買ってみようかな」と思うものが出てきただけなのです。

心理学を学んだわけではありませんので、これは私の直感に過ぎませんが、あながちそう外れていない気がします。実際Netbookは売れています。フルサイズノートが真横で安く売られていても、売れています(安くなったせいで、フルサイズノートも売れているようですが)。Let's Noteの新型が出ても売れ続けています。

直感的に「欲しい!」と思わせる商品が手軽に買えるようになったから、売れているだけだと思っています。「PC評論家」の皆さんの意見はどうなんでしょうか?

(できればPC onlineに直接意見を書きたいのですけど、なんか方法あるんですかね)

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コメント

今日は朝から少し感動しました。( ^ω^ )
私は基本的に自分(個々人)が欲しいと思う物を直感でも研究&比較してからでも買って満足感が得られればOKと思っていますが、わりと影響力のある専門家の方が「一刀両断」は現総理ふうに言うと「いかがなものか?」と思います。
(私のようなシロートは、ついつい専門家の意見をウのみしてしまうので)
そして今日のarkoujiさんのブログを読んで感心しました。
私は文章が下手なので(つい先日もコンメント欄ではご迷惑かけまして申し訳ありませんでした)、T氏の評価に対してのモヤモヤ感をうまく反論できない感じだったんですけど、arkoujiさんのうまくまとめられた文章に救われた感があります。

管理人さまをこれだけ熱くさせる記事とはけしからんと思い、急いで読んでみましたが、少々手厳しすぎるかと…。
 多分アメリカで300〜500ドルというPCはWal☆Martで販売されていたLinuxベースのものなど、一般の消費者が買いやすい場所で販売されていた(ホワイトボックスPCではない)PCをさしていると思われます。PCの価格でもっとも高いのはOSである訳ですから、近年のPCの性能と大半の消費者の使用実態のバランスが、ローエンドPCで充分という現状では、LinuxでもOKとなればこの価格でも商売は成り立つはずです。
 それを分かっていて、気軽に使える安価で小型のノートPCをビビって創らなかった多くのメーカーに先駆けて開発したASUSは、やはり賞賛されてしかるべきです。(あっ、工人舎も褒めてあげてください!)
 ネットブックの功績は、ニッチではなく市場がちゃんと存在していることを、世界的に証明したことで、しかも日本という携帯電話文化の国で成功(マニア層だけでなく、一般ユーザーを取り込んだ)したこと。それとIntelとMicrosoftを本気にさせたことでしょう。
 2kg超のノートPCを、手提げで電車移動を1
ヶ月やったことがありましたが、正直この記事の通りだと実感しました。壁やドアにぶつけることは茶飯事で、予備バッテリーやACアダプターも放り込み、肩が外れるかと思う重量には勘弁!でしたから。ただ遊びで使うなら、EeePCで持ち運ぶのは充分現実的ですから、管理人さまのおっしゃる通りだと思います。
 市販ソフトのインストールやDVD-Videoの鑑賞など、光学ドライブが必要とされることも多いですし、1台目のPCとしてのネットブックは、少々厳しいのは間違いないところです。USB接続で外付けドライブをつなぐ、という何でもない行為でも、初心者にはハードルが高かったりしますので。

こんにちは、intersectさん。
いえいえ、私もずいぶん長ったらしい文章を書く癖があるので、もうちょっとまとめて簡潔に書けるようになりたいと思っております。
ひとついえるのは、昔からパソコンの批評家は「性能ありき」で書いており、高い商品ばかりほめる傾向が強いということです。このT氏も例に漏れず、といったところでした。
パソコンは使ってなんぼの道具に過ぎません。使い方こそが大事であり、性能の高い低いではなく、必要な性能があるかないかだけだと思っています。

こんにちは、passoさん。
すいません、ひとつ記事の中に書き忘れていましたが、フルサイズノートが最近安くなってきたと指摘したのは「日本国内」のことです。確かにアメリカでは今のNetbook並みの価格のPCはありました。
このT氏は日本国内のユーザーに向かって語っていますから、まず日本の状況にみあった話をすべきだと思っています。日本国内では、Vistaが出た直後ぐらいからノートPCの値段が高くなっていました。XPのころはまだ8万円くらいのPCが珍しくなかったのに、急に10万円オーバーが当たり前になってしまったのです。
その後確かに安くはなってきましたが、EeePCが出るまでは5万円台のノートというのは出てきませんでした(直販などではありましたが)。
言葉足らずだったのは、フルサイズノートが悪いという印象を与えてしまったことですね。ちょっと熱くなりすぎました。すいません。
今の安くなった14インチノートは、私もいいと思っています。これからはノートPCが主流の時代だと思っています。安価なノートPCの登場はこうした流れをいっそう加速させています。
こうしたきっかけをEeePCが与えてくれた、ということを忘れないで欲しいと思っています。

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